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『人と時』

座談会

- 第一部 -
(Page 2/3)

春:こないだの三井ホールのコンサートは、新しい”熊木杏里”をみたなっていう感じがしましたね

蘭:うんうん

森:どういう感じでしたか?

春:コンサートのスタートからしてそうでしたね
風の音のSEからはいって
そういう、雰囲気から作り込んでいっている感じがありました
テクニカルな部分でいうと、マイクが変わったっていうのがあって
声の印象・響き方が全然違う形になりましたね

森:あれは全然違いますね

熊:全然違いますか?

春:全然違います

熊:春日さんはリハーサルにいい意味で来ていないから、本番の印象が大きいですよね

森:完成品をいきなりみる感じで、その課程をみていないからいいのかもしれないですね

熊:正直なところがきけるというか

森:「変わった?」っていう変わりつつあるところをみていないからね

春:コンデンサーマイク(高い周波数までひろえる高感度なマイク)のときは空気感があって
熊木さんの声のいい部分をひろっているというか
その空気感で空間が広がっているイメージがあって、きれいな世界が作られていて
それを映画のように楽しむみたいな、そんな感じがあったんですけれど

熊:はいはい

春:今回のマイクはダイナミックマイク
(シンプルな構造で、しっかりと音を受け止めてくれるマイク)という種類で
こう実をつかんでくれる感じがあるから
熊木さんの声で身体が包まれていく感じがあるというか

森:それはあるかもしれないですね
コンデンサーマイクだと空気感も多いし、ひろう周波数レンジも広いから
やっぱり歌がアンサンブルのいちばん上に乗っかりがちになるんですよね
歌の周波数レンジが広すぎて、楽器とにじませられないんですよね
その帯域にはいると、ボーカルが「キーン」ってハウリングしてしまいやすくなるから
だけどあえてちょっと下の方に落とし込むことによって
バンドサウンドの中に共存することができるっていうのはあったかもしれないですね

春:共存してましたね
サウンド全体でつかみに来ているっていう感じがあって

熊・森:(サウンド全体でつかみに来ている...)

森:サウンド 全体で つかみに来ている!

春:これまでなかった感じですね
そういった意味では、デモ音源をもらうときに似ているかもしれないですね
あれは録音用のコンデンサーマイクということもあると思いますけれど

熊・森:うーん

春:デモの状態って結構そういう感じになっていることが多くて
わりとこう、つかみに来ている感じというか

森:設定とか細かいことはやらないから
逆に声のニュアンスとか距離でたぶん自然にやっていると思うんですよ
自分の出したい音に持っていくみたいな

春:しかも自分のピアノだから、うまく声もよけられるからね

熊:うん、そうだね

森:乗りこなすっていうやつですよ

熊:でもやっぱりあのマイクは大きかったですね、今回ね

森:BETA®57Aね

春:で、そこにきて森田さんのライブのアレンジがまたね
しっかり共存するように
よけるわけでもなく
混ざっているわけでもなく
うまく共存している感じがあって

森:これだけ歌を大事にといいつつ矛盾するんですけど
音を作るときって、歌もやっぱり楽器の一部だと思っていて
なんかこう、いちばん上に置かないんでしょうね、たぶん僕は
中に置いて、いろんな楽器が横を通っていったり混ざっていったり
いっしょに流れたりしつつっていうのをなんか

熊:そうだね、中にいる感じがあるよね
それはアレンジにもあってデモをもらったときから思っていたけど

森:アルバムのね

熊:上には乗ってないなっていう印象がすごいある

春:たしかに

森:ね、そういう感じになりましたね

春:そうね、だからコンサートが最初からそういう印象だったから
出だしから楽しみでしたよね、なにより

蘭:うんうん

森:あー、よかった

春:たぶん会場のお客さんもきっとそうだったんじゃないかな
あとで資料として残した音源を聴いてみて思ったんですけれど
実は長いんですよね、SEの部分が

森:あー、長い(笑)

春:あとから聴くとね(笑)
でも、会場にいたときには長いと感じなかったんですよ
あれだけ長く間を取ったコンサートって
いいままでなかったんじゃないかなって思うんですよね

森:本人が出てくるまでにね

熊:あれ、そうでしたっけ?

春:雰囲気をあそこまで作り込んで
静にすっとはいってくるっていう

森:それはやりたかったんですよね
バンマスになったときからずっとやりたかった
やっぱりライブって非日常だから
1回俗世間からはなれる為には、たぶんそれなりの時間が必要で
僕はよく「ぼーっとしてもらう」っていう言葉をつかうんだけれど
1回ぼーっとしてもらってから、はいってきて楽しむ
みたいな

熊:アルバムもその雰囲気だもんね

森:そうですね
だから最初に雑踏の音をいれたのも、わりとそうなんですよね
1回ぼーっとしてもらうっていうのはありますね

熊:そうか、長かったか...

春:あとから聴くとですよ

森:あとから聴くとね

春:コンサートにいるときの気持ちだと、まさに丁度いいくらいの長さでしたね

森:僕もだれかに突っ込まれたら、どうやって丸め込もうかなと思ってた(笑)

一同:(笑)

春:長さ的にね(笑)

森:1分40秒くらいあるんですよね、熊木さんが出てくるまでに

春:ありますね(笑)

熊:そうだっけ?
みんな先に出てくるんだっけ?

森:みんなが出てくるのは50秒くらいかな

春:それでも結構あるね

森:SEも今回僕が作ったからね

熊:SEがはじまった段階からコンサートはじまったって感じでした?

春:BGMが落ちして、無音になって

熊:あ、じゃあはじまるっていう空気になってからの、か

春:「あれ?なんかよく聴いたら音が聴こえてくるぞ」
みたいな

森:そうそう

春:「今回はこういう感じか?」
みたいな

熊:なるほどね

森:フェードインね

春:なんかクラシックのコンサートにきたみたいな
いい緊張感が生まれてね

熊:結構緊張してたんですか?

春:後ろからみていた雰囲気ですけど
ぴりっとしたような

森:「なにがはじまるんだろう?」みたいな

春:そうそう、期待と緊張みたいな

熊:要するにアレだね、経験がないから
免疫がないから(笑)
これをたぶんもう一回やれば大丈夫なんだけど
思惑通りにいくのは次かもしれないね
その「ぼーっと」っていう風にいけるのは
もしかしたら、今回はみんな緊張してたかもしれないね

蘭:なにがはじまるんだろう?って

春・森:なにがはじまるんだろう?

熊:いつくるの?
いつ熊木さんは出てくるんだ?
みたいなことですよね?

春:そうそう(笑)

熊:たしかにね...
ぼーっとしている人はあまりいなかったかもわからないね
今回はね(笑)

森:ぼーっとして ほしいんだよね
1回こう...

熊:でも雰囲気はそこからはじまっていたっていうのはあるね

春:そうそう、いい集中を作り上げたところで熊木さんの登場、それで歌っていう
素晴らしいスタートだったと思います

森:1回ゼロベースっていうね
今回SE作ったけれども
アルバムの1曲目の「home」のサンプリングを使いつつ
なんかそれを予感させるものみたいな感じにして
あえて雑踏はいれなかったんですけど
1曲目はこれなんだろうなっていうのを、わからせつつっていうのをやりたかったんだ

熊:そうだね

春:アルバムのコンサートっていうのもありつつね

森:カモーン!カモーン!カモーン!!カモーーン!!!
みたいな感じで

熊:たぶんそれも前だったら1曲目も緊張しちゃって
「こ、怖ーい」
とかなってたと思うんだけれど
全然なかったんでね
「任せなさい」くらいの気持ちで(笑)

森:なんかすごい会場の空気がよかったのを覚えてますね

春・蘭:うんうん

森:SEをしぼって
最初のE♭のコードが「トン」って鳴った瞬間に
「あ、いい空気」って思った
照明含め、客席の人の表情含め
「あ、いい空気できた」って思って
「じゃあもう、あとは勝手に進むでしょ」って
「自動演奏モードでしょみんな」って(笑)

春:「いけますでしょ」と

森:もう、勝手に進むんですよ、空気がよければ
要はライブの空気をつかむまでが大変だったりするじゃないですか?

熊:うんうん

森:1曲目は置きにいったり、2曲目で探りにいったりみたいな感じで
スロースタートな人もいるかもしれないけれど
1曲目から今回はつかめてたから

春:うんうん

森:まあこのあとなにがあっても、みんな受けいれてくれるだろうって
なんとなく
なんとなーく感じた気がした

熊:
曲順もよかったしね

森・春:曲順ね

森:いつ決めたんだっけか?(笑)

熊:なんかね
無駄がないっていうか

森:打ち合わせしたときのことあんまり覚えてないけれど(笑)

熊:最初は「home」からじゃなかったと思うんだよね
あれ?どうだっけ?

森:「home」は「home」だったんじゃないですかね?

熊:「Best Friend」なんかも本当に歌うの楽しかったしね
自分の歌かなって思うくらいに

森・春:うんうん

森:よかったのかな、流れが

春:「Best Friend」が2曲目でしたね

熊:そうそうそう

春:それちょっとびっくりしましたね

森:あー

蘭:うんうん

春:「もう来た!」って

熊:2曲目がいいんじゃないっていってたよね

森:「home」とキーがいっしょっていうのもあって
わりと世界感ができるかなって思って
他のところに置くと浮く気がしたから
1曲だけカバーだからね
1曲目の余韻のままいきたかった気持ちはありましたね

春:あーなるほど

森:もはや懐かしいな...

春:わりと、まだ最近の話ですよね...

熊:「すごく明るくなった」っていう感想がありますね

森:明るくなった!

熊:「熊木さんの歌と音楽を聴いていると自分が認められているという気分になります」
これなんかよくないですか?

森・蘭:あー、いいですね

熊:なんかこう、羽の歌のようなんだけれど
これなんか凄く嬉しいと思った感想のひとつだな
肯定?してあげられている気持ちになれる
って、なんかすごくないですか?
そんなつもりは全然ないんだけれど

春:うんうんうん

森:それは僕は感じるところはあるな
なんかいってほしいことをいってもらえる気がする
歌詞とか言葉にね

春:新しいなと思ったのは、声の質感っていうのはそうだったんですけれど
音楽的な部分で、ジャンルが変わったなっていう印象があって

森:ジャンルね

熊:ジャンル!

春:いわゆる、どJ-POPからもうちょっとアンビエントな匂いのする
よりアーティスティックな部分が増したというか
そのマッチングで、どJ-POPだったりとか、どフォークだったりするところに
アンビエントな要素が加わったから
なんか新しいジャンルが生まれたなっていう印象がありましたね

熊:曲はね、フォークだし、日本の歌だしっていうね

森:わりとそれって僕の中では、近年のJ-POPの中でも起こっている現象だなって思っていて
昔みたいにトップ10並べたときに同じ音像な感じじゃなくて
それぞれ個性的な音像でやっている人が増えたなって思いますね
それこそあいみょんとか、中村佳穂とか最近の人きいているとっていうのは思っていて
だからといって個性的な方向でやろうと思っていた訳ではないですけどね(笑)

春:熊木さんの声が持っているバリエーションが、フォークだけじゃないし、J-POPだけじゃないし
いろんなジャンルのところにチャレンジしていける声を持っているなと思っていて
そこで、新しい組み合わせが生まれたなっていう印象があって
個人的にはすごく好きなジャンルなんですよね、この組み合わせが
これまで熊木さんを聴いてきたファンの方達にとっても新しい印象になっただろうし
そういう意味での可能性を感じて
それが別に急に変わったというわけではなくて
時代の流れでうまくチェンジしていっている感じがあって
そういった意味でもこの先が楽しみだなって
さらにどこに向かっていけるのかっていうのを
すごい感じましたよね

熊:そうか、渦中にいるとその「変わったんだ」っていうところがわからない
けれど、もしかしたらジャンル変わったっていう印象はあるかもね
なんかでもなじみすぎてちょっとその辺の記憶がないけど...(笑)

森:”熊木杏里”っていうジャンルを作るじゃないけれど
いちばん熊木さんらしさが出る音楽を作りたいなって
最初に話をもらったときは思いましたね
なんかやっぱりライブでね、ステージで3年みていた自分が共同制作するってなったときに
じゃあ僕が知っている熊木さんらしさとか、声のバリエーションとか
質感がいちばん伝わる音楽を作りたいなって思って

熊:そうね

森:ってなったらやっぱり
J-POPだから、フォークだからとかいう風なアレンジをしていくと
まず自分の中でひとつ凝り固まるんですよね
「J-POPだから音数いっぱいいれなきゃ」とか
「華やかにしなきゃ」とか
「センター街で歩いていても、ぱって聴いただけでわかるような音楽にしなきゃ」とか
いろいろあるんだけれど...
今回はなんか、熊木さんらしさっていうのをやってみたいなって思ったのはありましたね

熊:どっちかっていうと、森田くんの音楽が「にゅん」って出てきたところが
合わさっている気がするけどね

森:そういわれると、こう自分のエゴが出ているような気がして怖くなるんだけど(笑)

熊:でも、自分の音楽をやっている以上はね

森:そうなってしまうのかもしれないですね

熊:でもそればっかりでもないしっていうところで

森:『殺風景』を聴いていて「はじまりがここか」って思って
はじまりの感じはここで、こういう歌の感じ、こういう歌詞の感じっていうの感じて
ライブをやっていくうちに過去のアルバムにもふれる機会があって
それをずっと自分の中で辿っていったときに、現在の座標を割り出すじゃないけれど
いま、”熊木杏里”っていうシンガーソングライター、表現者はどこに立っているんだろうって思ったときに
「いまここです!」っていう楔じゃないけれど、場所がほしかった

春:うんうん

森:それで去年15周年っていうこともあったし
「15周年歌ってきた結果がここです!」っていう
「いまの熊木杏里です!」っていうのをやりたかったっていうのはあるな

春:15周年のコンサートと、今回のコンサートって大分違いますよね?

熊:なにが違うかな?
みんなで考えよう!
らんちゃんは生ではみてないか

蘭:生ではみてないですね

熊:DVD(『人と時』初回限定盤特典DVD)はたくさんみたけどね(笑)

蘭:(笑)

森:コンサート制作においては、周年コンサートのときは
いままで歩いてきた道を示さないといけないから
わりと再現系のコンサートになっていたかな

熊・春:「再現系」ね

森:ぼくが苦手なやつ(笑)
ギターとか、ピアノのフレーズをちゃんとこれ弾いてっていったりしたのは覚えてるな

熊:たしかに

森:あとなるべく音源(CD)に近い音像で
コンサートを組み立てていこうって思っていたのは覚えている

熊:そうかもね
だから、やっぱりアレンジがいいんだよ!
森田アレンジが

森:いやいやいや

熊:歌う隙間産業みたな(笑)

一同:隙間産業(笑)

熊:DVDをたくさんみたじゃないですか、作ったから
あのときに「マイクはこれじゃないんだ」って思ったんだよ

春:ずっといってましたね、最初から(笑)

熊:コンデンサーじゃないんだって

森:あのマイク(NEUMANN KMS105)もすごくいいんですけどね
シチュエーションによりけりっていうか、楽器といっしょでね

春:そのときやりたい表現に合うか合わないかってありますよね

熊:15周年のあのときはあれでよかったんだよ

蘭:うん

森:たぶん、アコースティックギターとエレキギターくらい違うで考えとけばいいさ

熊:えー

森:考えとけばいいさ(笑)
シチュエーションによって持ち変えればいいさ

熊:いいの?

森:あれがはまるときが来たら、そっとエンジニアさんにいっておくから

一同:(笑)

森:「今回ちょっとあれ置いてみて」
「やっぱもどして」
っていうかもしれないし(笑)
なんか、乗り換える楽しみを感じてくれればいいんじゃないかな

熊:そうだね
そういえばマイクについての感想が来てましたね

森:きてましたね!
「見えるんだ!」って思って

熊:気づいてた人がいたって
「マイクが変わりましたね」って

森:プロだな絶対って(笑)

春:色からして違いますからね(笑)

森:だって値段だって違うもん
4倍以上違うんじゃないかな(笑)

春:値段の話?(笑)

熊:なんか、自分の思いのままの顔色になるんだよね
いまのマイクは

春:ふーん

熊:ずっと怖かったから、そんなところまでいき着いていなかったんだけれど
いまはこうやってすごく楽しくなってこう乗ってきたときに
それがグッとマイクに乗るといいなって思って

森:最初デモを録るときに僕が渡したんですよね、たしか
去年のクリスマスのライブのアレンジデモを作っていて
みんなで最後に歌を歌いたいって

熊:「寿」ね

森:「ことぶき〜♪」ですよ
「寿」の最後にみんなで「Silent night」歌いたいってなって

熊:うん

森:それで、コーラスのアレンジを作って自分で歌をいれたときに
「あれ、なんかこれ熊木さんに合うんじゃないかな」って思ったんですよね
僕はいまのノイマンのマイクでもよかったんですけど
「なんか合うんじゃないかな」って思って
デモのやりとりをしていたときに
「もしよかったら試してください」って渡して

熊:家で録ったときは、音量が下がったっていう感じになっちゃって
「あれ?どうしたらいいんだろう?」って
沖縄OUTPUT(7月14日「wandering note ~南の島から~【熊木杏里を語る会~熟考】」)で
それを使ったらすごくよかったんだよね

森:あのときはまた別のコンデンサーマイクをエンジニアさんが用意してくれたんだけれど

春:とってもいいマイクね

森:最終的にそれぼくがMCで使っていたっていう(笑)

熊・蘭:(爆笑)

森:超高感度!

春:それこそ何倍の値段ですか!(笑)

森:もう、ぼくが口を開けるときに唇から「プチ」って鳴る音が聴こえるくらい高感度(笑)

熊:マイクは値段じゃないよねっていう

森:値段じゃないからね
結果、いまはあれが楽しいっていうことでいいと思うし
ずっとこれでもいいと思うし

熊:すごい楽しかった

森:好きなものに出会うって大事ですよ

春:大事大事

熊:でもマイクを変えたいだなんていままで思ったことなかったから
それはもう転機のひとつでしょうね

春:たしかにね

森:天気のひとつ

熊:天気の子だよ

一同:???

蘭:(爆笑)

森:うまいっすね

一同:(爆笑)

熊:えーっと?
読もうよ!ほら!ね!
みんなからもらったやつを!

一同:(笑)

春:じゃあ頂いたアンケートからコンサートの感想にふれてみますかね

森:めーっちゃいっぱいきてますね!

熊:リアレンジでやった「春の風」とか「私が見えますか」がすごい好評で

春:「春の風」素晴らしかったですね!

熊:あれはね、いいよね

森:あれは演奏もよかったですよね

熊:「超えてやろう、前の曲を」みたいな感じじゃないところがいいよね(笑)

春:同じ土俵にはあがらないっていうね(笑)

森:いやいやいや、めっちゃ・・・ねぇ(笑)

熊:そこがいい!

森:超えてやろうっていうか、前の熊木さんの歴代のアレンジは
大先生方がやっているわけじゃないですか
自分なんかよりもずっと、音楽のことをわかっていたりする人達がやっているわけだから
もうそれはすごいと思うんだけれど
今回はアルバムのレコ初だったから、わりとアルバムの世界感は大ことにしたいなと思ったから
そっちに寄せていこうと思ってアレンジしたのは覚えているな

熊:雨空(「雨が空から離れたら」)とかもね

春:さっき出てきた15周年のコンサートが「再現」だったっていうところでいうと
今回のコンサートでの過去曲っていうのは、まさに「リメイク」っていう感じがあって
映画とかであるみたいに現代版に「リメイク」みたいな

熊:現代版!

春:”現代版熊木杏里”みたいな

森:僕はありだと思うんですよね
いままで15年間大切に歌ってきたものを
また大切にリアレンジして歌っていくっていうのは
続けてきた人しかできないですからね

熊:そうだと思う

森:新しく出てきた人はできないことだから
僕はバンマスになってから過去曲のリアレンジはね、積極的にやってますね

熊:そうだね!
「説教と楓」とか幽霊船(「幽霊船に乗って」)とか

森:「私が見えますか」もね
あれは去年のフォーラム用にアレンジしたけれど
15周年コンサートではあの曲だけが、布石というか
いままでのも全部やるけれど、これからの熊木さんの感じっていうのが見えるっていうか
「これからはこの感じでいこう」っていうつもりもなかったけれど
そうやって過去のものをリビルドして、やるのもありだよね
っていう感じでやったのは覚えてるな

熊:いいーバランスだったよね、今回
多くもなく、少なくもなく
過去曲がね

春:うんうん、絶妙なバランスだった

蘭:うんうん

熊:「春の風」なんかは、はじまってみてもなんの曲かわからなかったでしょ
「かっこいいなぁ」なんて思ってたら「つっち〜の〜♪」ってね(笑)

春:むしろ「新曲はじまったかな?」くらいに思ってましたね

熊:

森:あの曲ってもともとイントロがないじゃないですか、だからこそ
アルバムのアレンジもそうだけれど
どういうシチュエーションでその人の言葉を聞いたら
いちばん理解が深まるかっていうか
いちばん近くに感じられるかなっていうのが、わりと自分の中にはあって
そういう景色を1回見せたあとに
歌がすっとはいってくると
染みるんじゃないかなって

熊:なるほどね

森:熊木さんが長野出身だからね
わりとその長野のアルプスみたいなそういうね

春:景色を感じてもらって

森:「山々が」っていう感想ありましたね
景色が見えるような感じのイントロやりたいなって思って
あれもイントロ長いですね(笑)

春:あれもね(笑)

森:でも、よかったんだあれはあれでね
「あーいい感じだな」って思いながら、やってましたね

熊:なんか...
歌いやすかったな

森:今回弦(ストリングス)もいましたね

春:森田さんのアレンジって、とくに弦で感じますけど独特ですよね

森:あー、そうかな
2弦編成で特殊ですからね
それにあとぼくがコントラバスを弾くから、3弦になるのだけれど

春:いわゆるJ-POP的な使い方だとふわーっとした音のパッドっぽい感じにしたり
にぎやかしではいってくるとか、駆け上がりとかね

熊:あー、ありますね

春:どっちかっていうと、森田さんのアレンジって
それぞれがきちっとそのパートとしているから
まさにトリオだったり、クァルテットだったりっていう感じになってますよね

森:そうですね、メロに対してメロを当てていくっていう対位法みたいな感じでやるから
「傘」なんかはわりとそういう感じでやっていて
だからはたっぷ(キーボード:幡宮航太)にはリハーサルのときに
「ここ音あたってるけど大丈夫?」
なんて、いわれたりするけれど
「それはね、メロとメロだから大丈夫なの」って(笑)
「ここであたって、ここで離れていくから大丈夫なんだよ」って

春:そういうときって、非常にバランスが大事ですよね
音量感と音質感?
それが崩れるとあたって聴こちゃうし、うまくはまるといい感じになるっていう

森:そうそう、うまく弾いてくれる人だと全然大丈夫だし
なんだろうね、こすれてなんぼというか

熊:弦のアレンジって書いたことなかったんだっけ?

森:弦のアレンジは...
そうですね、たっぷり書いたのは今回がはじめてかな
あんまり... ね、書く機会がないから(笑)

熊:なんかあんまり聴いたことない弦のテンションの感じを差し込んでくるなって
私が知らなかっただけかもしれないけれど

森:景色を、なんていうか演出できる楽器だから
リズム楽器と違って
それがあるのとないのとでは自分の中ではかなり差があって
じゃあ「この曲は、シリアスを煽るようなラインにしよう」とか
「こっちは歌によりそってみよう」とか
たとえば「あわい」と「傘」って両方編成は同じなんですけれど
全然自分の中では弦のイメージが違くて
「あわい」はとにかくよりそって、よりそって
歌の横にいるっていうか、舟が進んでいて横にイルカがいっしょに泳ぐっていうか

熊:(笑)

森:「傘」はどっちかっていうと、景色の一部っていうか
弦が景色を作って、その登場人物が熊木さんみたいな

春:なるほどね!

森:だから、すごい寂しい感じになっている

熊:「傘」すごい投票高かったよね
あと、「傘」はライブですごいよかったっていう人多かったな
(人気ランキングは3ページを参照)

森:ライブ、全曲よかったですよね

熊:デビューからのファンの方が「ベストライブなのではないかと思いました」って

森:いいですね

蘭:「いちばん好きなライブ」とか、「最高のできでした」とかありましたね

熊:ね!

森:最高じゃないですか

熊:「なにかを振り切ったかのような」「新たな未来を見いだしたかのような」って

森:なにを振り切ったんですか?

熊:恐れがなかったんじゃないかな?

森:恐れがね

熊:そういう意味では新たな未来を見いだしたように見えたのかもしれない

森:変なベクトルの緊張は一切なかったですよね

熊:「変なベクトル」(笑)

森:なんか「電撃イライラ棒」みないな(笑)

一同:(爆笑)

熊:懐かしいやつ出てきた(爆笑)
触ったらいけないやつ(笑)

森:ずーっとこう
触ったらバーンって!
そういう感じのはなかった(笑)

春:世代違くないっすか(笑)

森:いやいや(笑)
針の穴を通すような感じじゃなかった

熊:「蛍」だけだもん、間違ったの、たぶん
「ラララ」になったやつ
「伝えたかったこと」3回くらいいったやつ(笑)
どんだけ伝えたいねーんって(笑)

森:どうしても伝えたかったことがある

熊:「熊木さんは本当に価値が高いアーティストだと思います」

森:「価値が高い」って、すごいね

熊:自分の中でだよね、きっと
この人にとってプライオリティが高くなったんだよ私のことが

森:「アルバムを聴いた時点で、今回のライブがいままでいったライブの中でいちばんのライブになると確信していました」
って、すごいね
「CDでの印象とは裏腹に、各曲ライブ映えすることが意外だった」
いいねいいね

熊:「MCの森田さんとの絡みも面白かったです」

森:それは... 全然忘れましたね(笑)
ぼくはMC嫌いなんだよ

一同:(笑)

森:全然しゃべれなくなるんですよ、緊張しいだから

春:マイク向けられるとね

森:しゃべったあとに、その緊張が次の曲の演奏にまで影響を受けるから

熊:ずりずりずり

森:できる限りしゃべりたくないから

熊:「夏の沖縄OUTPUTでの披露曲がはいっていなかったのは意識してたんですか?」

森:意識はしてないっていうか「レコ初ライブ」でしたからね!(笑)

一同:(笑)

熊:沖縄OUTPUTを引きずってる人達がいる

蘭:多いですね

熊:「終始安心して身も心も委ねながら夢心地で座ってました」
「いままでだと森田さんはMCが苦手な印象がありましたが」

森:だから、もうよくないその流れ(笑)

熊:「気の利いたことをいえないし勘弁してとそんな感じでしたが」
「この日は積極的で、ステージのみなさんと嬉しそうにアイコンタクトをとっていましたね」

森:純ちゃんがさ、中国語でいってくれたじゃん
「私は齋藤純一です。私は中国のご飯が大好きです。みなさん愛してます。」を
あれがすーごいよかったの

春:あれはすごかったね

森:「純ちゃん、ありがとう!」って(笑)

一同:(笑)

熊:全然私その空気つかんでなかった(笑)

森:純ちゃんがあそこでいったので、ほどけたの、みんな

熊:そうなんだね

春:ゆるっとなったよね

森:そのあとに「彼は」って純ちゃんがいってくれた中国語を説明したときは声が震えてたね(笑)

一同:(爆笑)

春:震えてた震えてた

森:「か、かれはっ」

春:その前から震えてましたよね(笑)

森:そうそう、ちょーヤだったもん
ちょー恥ずかしかった、あとで資料の映像みたときに

熊:「ピアノがやかましくなくて、声がよく届いてよかった」

森:ピアノがやかましかったイメージがあったのかな?

熊:やかましいっていうか、ピアノが積極的に聴こえないアレンジだからじゃないかな?

森:あー、難しいよね
ピアニストがアレンジすると、やっぱりピアノっていうのがいちばんよく聴こえる感じになるから
あと、歌と近いからねピアノって

春:レンジも広いし

森:あんな便利な楽器ないですよね
いいなーって思って
いやー、本当にありがたいですね
こんなにいっぱい、自分の思いを

熊:

森:弦をライブにいれたの久しぶりですか?

熊:そうだね
チェロ一本とか、ヴァイオリン一本とかっていうのはあったけど
バンドでちゃんとはいっているのは初めてだと思う
そういった意味でも新しく見えたと思う

春:うんうん

熊:なんか「大人」っぽい感じ?

森:「大人っぽい」っていっぱいありましたね

熊:「大人熊木杏里でした」とかね

森:「大人」ね、大人ですからね

熊:「みんなが一つひとつの音を大切に演奏している姿がたまりません」とか
私の歌のところだけじゃないところからもにじんでいるのが、とても嬉しいなと思う

森:サウンドからつかみに来ていますからね、ぼくたちは

熊:ねー

春:くっとね

森:くっとね
それが伝わってるのが、アンケートからすごいわかりますね

熊:そうそうそう

森:狙い通りってやつでしょ

熊:狙い通り?

森:「狙い通り (  ̄- ̄)ニヤッ」でしょ(笑)

熊:ニヤッ(笑)

森:「これまででいちばん熊木さんの笑顔が多かったように感じました
成熟した大人の余裕といったところでしょうか」

森:「成熟した大人の余裕」

熊:任して任して

森:デビューのときからみていたらそうですよね
20才くらいからね

熊:成熟したのは私だけじゃなかろうにって(笑)

春:みんないっしょにね

森:そうですよね
やっぱり自分の重ねた年月もそういう風に重ねて聴くもんなんですかね?

熊:やっぱ追いかけてくれてるとそうなのかなぁ

森:あのときの自分みたいな「窓絵」のときのオレ、みたいな感じになるのかな?

熊:どういう気持ちなんだろうね

森:続いてるってすごいですね

熊:らんちゃんは三井のライブどういう印象だった?

蘭:中国は熊木さん含めて3人だったじゃないですか
それが私にとっての最初の熊木さんのライブだったんですけど
三井で弦もはいってきて、はたっぷさんもいて、岩丸さんもいてっていう
大きい感じのステージをみて
聴いていて、華やかな感じと、アルバムの再現具合とか
熊木さんの中国のときとは違う楽しそうな感じっていうのがあって
みている方も熊木さんが楽しいことで、楽しくなるし
バンドメンバーの方々も、その熊木さんをみながらいっしょに楽しんでいる感じがあって
それがこっちにも伝わってきて、こっちも楽しくなるっていう感じがありましたね

森:一体感ってやつだね

熊:すばらしい

蘭:ステージだけで繰り広げられているものを、こちらが受け取るわけではなくて
そこで繰り広げられている空気感がこっちにも伝わってきて
全体がいっしょになっているっていう感じを受けました

一同:パチパチパチパチ

森:100点!

熊・春:(笑)

森:らんちこ100点!

春:100点もらえた!

蘭:やったー!

熊:はなまるもらえた

森:単位あげる単位

蘭:単位やったー!

森:あげるあげる

春:森田教授から単位!

森:あとはゼミ出てもでなくてもあげるから

熊:主席、主席

森:主席決定!
君が主席だ!

熊:年齢層が高い

森:それはね

熊:アンケートもそうだけれどライブもね
ライブは女性の方も増えた気がするね

森:増えてきましたね

蘭:純粋に熊木さんの活動を追うとかではなくって
熊木さんの音楽を楽しんだり、浸ったりっていうのは
女性に多いかもしれないですね
そういう方はもしかしたら、アンケートに答えてないかもしれないけれど
実際にそういう方々はいるっていう感じですかね

森:楽しみ方も大人になってきてますよね

春:うんうん

森:じわっと聴いてるなみたいな
いいないいな、みたいな

春:そういった意味でも今回のアレンジはね
とくに椅子でしっかりじわっと聴ける雰囲気がありましたね

熊:そうですね

蘭:2曲目から泣いてる女性の方もいたっていう声もありましたね

熊:あったね

森:よかったよかった
やっぱり、大人ですからね

春:成熟したね

森:いまだからこそ伝えられることもいっぱいあると思うんですよ
音楽に対する姿勢とか、大切にしてきたものをいまも大切にしている姿勢とか
そういうのってよくないですか
僕はまだ若いからわからないですけど

熊:急に若いアピールきた(笑)

森:だって榊原大さん(「Best Friend」にてピアノを担当)なんかデビュー30周年ですよ!
30年って自分の人生じゃん!って(笑)

一同:(笑)

森:ぼくが生まれたときにデビューして、ずっとそれが続いてて
その間にぼくは二足歩行をはじめて

熊:二足歩行!(笑)

森:音楽をはじめて、いっしょに演奏してって
人ひとりの人生分やってるってすごいなって思いますもん

蘭:すごい...

森:で、それをずっと30年追っかける人もすごいし
なんか続けることって奇跡だなって
だからぜひね、熊木さんにも20周年、30周年、50周年とね
続けて頂きたいですね

熊:あれなんか急に突き放された気が(笑)

森:いやいや、ぼくも生きている限り頑張りますけどね(笑)

熊:ピアノを弾いているシーンもよかったね

森:ピアノ最近めっちゃいいですよね

春:熊木さん、ピアノがとてもレベルアップしましたよね

森:うん
でも、最近ですよ

一同:(笑)

春:あげて落とす(笑)

森:中国1日目からですよ

春:いってましたよね

森:中国のリハまでなんかね

熊:そ、そうね...

森:中国のリハくらいまでぽろぽろ間違ってましたよね

熊:間違って... ねぇ...

森:中国いって急によくなったんすよ
なんか飲んだんですか?

熊:(笑)
本番で学ぶタイプだなぁ

森:闘いの中で成長した
中国初日に「春の風」を弾き語りしてたときに
2番のAメロとかBメロとかで、いままで聴いたことないよなフレーズをいれてきたりしてて

春:そう、なんかレンジが広がったなっていう印象があって

森:「なんだこりゃ!」みたいな(笑)
思わずローディー(楽器スタッフ)に
「熊木さんピアノうまくなってないですか?」って(笑)
そしたら
「はい!」って(笑)

熊:やかましいわ

森:それも本番中に思わず(笑)
「うまくなってないすか、なになに?」みたいな(笑)

春:みんな思ってた(笑)

森:いやうまくなってるんですよ、最近
いいですよ

熊:いろいろ考えてるもんだって(笑)

森:あとやっぱり生ピアノを弾くのがうまくなったなって

春:グランドピアノね

森:エレピのタッチじゃなくて
弦を鳴らす、楽器を鳴らす、空気を鳴らすっていうのがうまくなってきてますよね
音色感つかんでますよね

春:だんだんちゃんと叩いている感じが出てきましたよね

森:前はこうずっと同じベロシティ(音量)で弾いてるみたいな感じがあって
(ばんばんばんばん)

一同:(笑)

春:指の形が全部いっしょ(笑)

森:「そんなに強く弾かなくても大丈夫」って何回かいったことある

春:ざーんみたいな(笑)

熊:そうだね(笑)

森:「だって歌そういう風に歌ってないじゃないですか」って

熊:そうだね(笑)

森:いまは、ピアノが歌に密着している感じがする

熊:ひとりで弾いてるときじゃなくって、純ちゃんと森田くんと3人でやってるときに思ったんだよ
「あ、いまは柔らかくていいかも」とか

森:闘いの中で成長している

熊:でもやっぱりはたっぷのピアノ聴いても思うけれど
やっぱりこうね、鍵盤全体を使うわけなんだよ
「自分はこの辺だなー」と常々思っていながら
できる範囲でちょっと広げてみようかなっていうのやってる

森:大丈夫です、楽しめる範囲でやってください

一同:(笑)

森:僕が今回中国ですごいよかったなって思ったのは
熊木さんがピアノを弾くことによって
音楽のスタート地点というか、音量がそこで決まるんですよね

春:なるほどね

森:ピアニストが弾くと、ピアニストが「ガン」って弾いたものに合わせてバンドも音を作るから
やっぱり歌の熱量を追い越すというか、煽る瞬間があって
とすると、やっぱり歌も疲れるじゃないですか
でもやっぱり杏里さんがいちばんこう気持ちいい音量でピアノを弾けると
そこにぼくたちは寄り添うだけだから
今回打楽器もなかったから
ぼくと純ちゃんなんてもう、手元調整のスペシャリストだから(笑)

熊:すごかったね、すごいついてきてくれてる感があった

森:だからすごい音楽的だったんですよね
それは本人がピアノ弾くとこんなことがあるのかって思ったから
これからもピアノを弾き続けてほしいし
どんどんうまくなってほしい

熊:任せなさい
おほほほ
楽しかった

春:そういった意味では、今回の三井ホールはダイナミクスレンジがいちばん広かったかなって思いました

森:あー、そうかもしれないですね

春:ものすごい小さいところから、大きいところまで

熊:でもあんまりその差も感じないというか
終始私は歌が楽しかったし

春:岩丸さんにいたっては、過去僕が関わってみてきた中で
いちばんでかい音を出していたと思う

森:そう

熊:でかいっていってたよね

森:「風船葛」なんか「オレこんな叩いていいのかな?」っていってたから
 「いっちゃっていっちゃって」って(笑)

熊:でかかったんだ
あんまり感じなかったな

森:「どかじゃーん!」って叩いてたからね
すごかった

春:いくなーって思ってました

森:いけいけだよね(笑)
純ちゃんも「ガー」っていってたし
ぼくも「うぁー」ってなってたからね

春:かたやいちばんちっちゃいピアニッシモのところは本当にね
客席の衣擦れが聴こえるくらい小さいところまでいってましたね

森:なんかそのレンジ感をみんなも楽しんでた感じがあった
「小さいところは小さくやろう」

春:非常によかった

森:ぼくたち同期(打ち込み音源)使わないから

春:ね、全部生でしたね

森:だからそれができるんですよね
同期使うと最初に同期の音量を決めちゃうから
それに合わせた音量になるけれど
ぼくたちは、生身人間演奏だから

熊:さりげなく「君」とか半音下げたよね

森:うんうん、下げた

熊:半音?

森:半音下げました、DをD♭にした

熊:たぶん、あれは気づいてる人いないと思う
歌いながら忘れてたもん
「高音がよく出るなー」って
「いや、違うぞこれ半音下げたんだ」って

森:私が上ってるんじゃない、曲がついてきてるんだってやつ(笑)
キーってすごい大事じゃないですか
この曲はこのキーがいいなっていうのが
って、いまあくびしました?!

一同:(爆笑)

熊:ちょっと眠くなってきちゃった
暑いなって思って(笑)

森:そうだから、あんまりキーをいじったりしたくないんだけれど

春:曲の印象が変わってしまいますからね

森:でもなんか、この曲は合うだろうなと思ったから下げてみた
「下げませんか?」って

熊:歌ってみたらよかったっていうね

森:DからD♭っていうね
Dって透明感があるキーだから、熊木さんの曲Dが多いんですけれど
D♭にすると急に倍音同士がこすれ合うっていうか
あったかい摩擦熱が生まれて
「君」とか二人称の世界みたいな歌はそれが染みる気がしたんですよね

春:今回のセットリストの中ではそれがいい方向に作用しましたね

熊:してたかもね

森:もともと持っている透明感とか、風通しがいい声の感じは「春の風」とかで出るしね
ずっといっしょにやっていて、世間の人がいう熊木さんの声の魅力っていうところと
逆のところをみていた感じがあって
みんな透明感とか風通しがいい感じをいっているんだけれど
僕はなんかあったかい声の方にすごい魅力を感じたのがあるから

春:実はそれはまさに、ライブ盤をCDで出したいって作りはじめたときのきっかけで
レコーディングしていると、その風通し感っていうのがあるんだけれど
ライブになると、そのあったかみが急に出てきて

蘭:うんうん

春:同じ曲なんだけれど、全然違う響き方をしていて
「これはCDで聴きたいな」と思って、やりはじめたっていうのがあったんですよね

熊:なるほど

森:なんかこう人を肯定する感じとかって、上に通り抜けていく感じじゃなくて
あったかい空気感が胸に来る感じっていうのをずっと感じてたから

熊:あったかいっていうのが飛び込んでくる印象はなかったからずっと
「エアリーでー」「透明感でー」
っていうから「そうなんだ!」って思ってたんだよね

森:なんかこう、話しかけてくれているときみたいな感じっていうか
そういう印象が自分は強かったから、いっしょにやっていて

熊:だからこういうアレンジになったんだろうね

森:それはあるかもしれない

熊:曲のピックアップの段階でいままでと違うっていうか

森:温かく歌っても抜けてくるような感じっていうか

熊:不思議だよね、インプットされてきたことっていうのの影響を受けているはずだから

森:それは受けますよね
人が望む自分になろうとするもん

熊:「春の風」で「つ〜ち〜の♪」とかも
なるべく風が「ふぁ」っていくように歌おうっていうのがいつもあったから
この辺(上に向かって)から歌わなきゃいけないっていうのがあって
でないなって思ってたんだけれど
それもなくなったから

森:首の角度が変わりましたよね

一同:(笑)

春:首の角度がね(笑)

森:昔はもう
「Hello〜♪」ってすごい上になってたもん

春:ちょっと斜め右になったりとかね(笑)

森:いま全然もうちゃんと前ですよね

熊:ちょっとこう(ちょっと首曲げる)?(笑)
エクソシストみたいな(笑)

春:左?左?

森:首折れちゃう

春:ずーっと首曲がってますよね(笑)

熊:そういうイメージがなくなったから

春:なるほどね

熊:イメージもすごい大事だなって、歌うときの

森:いやー、大事ですよ
イメージあっての音楽ですから

熊:「ふわぁ」じゃなくていいんだって
下の方の音の楽しさも、このライブにはあったね
「ぐわ」って

森:低域のね
だからすごい広がりを感じたんですよね
上の方の声って抜けて飛んでいっちゃうじゃないですか
低い音って会場に広がるんですよね
三井ホールなんてとくに「わー」って回る会場だから
そこを歌が「ぐわー」っていっている感じがあって
「あーいい気分だなぁ」って
僕はいい気分になってましたな


熊:声があったかいっていうところからの
この『人と時』のアレンジは発進だったんだろうし
あと『Euphonical Furnitures』が

森:あー、僕のアルバム

熊:なんか、すごいあったかいから
そういうのを持っている人なんだろうなっていうのがあって

森:ぼーっとしたい(笑)

熊:なんか不思議だよね
ずっとそういう感じにしたかったような気もするくらいな感じの
落ち着き度っていうか
あのアルバムがね

森:いいじゃないですか
続けてきたから、ここにいるっていうか

熊:だって私、すごい聴いてるもん、自分の
ふとしたときにね
やっぱり自分の音楽好きなんだなって思ったもんね
曲聴きたいな、落ち着きたいなっていうときに自分の曲をチョイスするっていう(笑)
これ聴いちゃうんですよ

春:いいですね

森:武部さんとコンサートしたのを観にいったときに
音楽を作りはじめたきっかけみたいな話を聞いたときがあって

熊:うんうん

森:自分の好きな音楽が、自分の音楽だからみたいなことをいっていて

熊:あたすが?

一同:あたすが(笑)

森:そうやって、作るのが好きで
自分の音楽に愛があるのもわかったから
その過程も楽しんでもらいたいなって思って
今回は
手の中で生まれた音楽がずっとこうマスタリングまで手の中にあるっていう感じ
人に任せて作ってもらって、それに歌をいれてっていうこともあるじゃないですか
「アレンジでこんなに変わったすごい」みたいな

熊:最初それがよかったんだよね
「これが、いきなりこうなった」っていうのが「やっぱりプロなんだ」って

森:こないだ「りっしんべん」やったじゃないですか
どんな曲だったっけって聴くと「絶対最初バラードだったんだろうな」って

熊:いやまあそれは間違いないよね(笑)

森: 「これ最初バラードでした?」って
でもやっぱりそれがああいうロックの曲になったりするっていう
それがアレンジのひとつの楽しさなんだけれど

熊:そのときになんか自分の曲なんだけれど、違う世界に踏み込んだなっていうのがあったけれど
今回は途中もね

森:だから今回は課程も全部なるべくみせようと思って
ピアノだけで渡したり、ギターだけで渡したり
「それがいいかな」なんかはこんな感じでやりたいんですよって
ボサノバのガットギターだけ録って

熊:朝起きるとなんか届いてるんすよ
靴磨きの妖精かなにかかなって思うくらい

春:夜な夜ななにかがね(笑)

森:基本夜型なんでね
送って寝る、みたいな(笑)
起きると感想が届いてるみたいな(笑)

熊:すごい思ったのは「生きかけとして」とか「傘」とかもそうかな
全体的に言葉だけ聴いていると強めっていうか
メッセージが強いはずなんだよね
一歩間違えると強めで寂しげでっていう方向にアレンジがいきがちな気がしてたし
いままではそういう感じだったんだよね、なんとなく想像するに
骨格や形というか、メッセージの方によっているっていう方が大きかったから
実は自分が見落としていたかもしれない温もりだとか
自分がやさしい人間だとか、温かいとかって
誰かにいわれたらうれしいけど、みたいな部分だから
「生きかけとして」ができてきたときに、すごい「こういうことなんだよな」って
ちょっと隠していた部分みたいなそういう
「やさしさライセンス」をピックアップしてもらったなと思ったんだよね

森:やさしさライセンス

熊:どこまでもやさしいなと思って
「いつかの影法師」の間奏なんかもそうだけれど
いきがちな方の悲しさにいかないんだ、森田くんっていうアレンジは
どこまでもあったかく、それが逆に切ないんですよね
アレンジの段階の第一印象はそうだったのかな
「悲しい」とか「暗い」とか「固い」「棘がある」とかっていう攻撃的要素がいっこもないっていうか

森:「生きかけとして」は言葉のはかなさとか、歌詞の中にある揺るがない大事なものがあったから
それをどういうシチュエーションで、人に話するみたいな感じで
そういうトーンでしゃべればいいかなって思ったときに
あったかい毛布みたいに寒い部屋とかでくるまって、はなされるといいのかなとか
自分だったら、そういうシチュエーションでこの歌聴きたいかなっていうのがあったから
ギターの音は、この世でいちばんあったかい音にしようって(笑)

熊:この世でいちばんね(笑)

森:この世でいちばんあったかいギターの音を作ろうって
まずそこからはじまったのは覚えてる
それでその部屋の寒さとか、外は寒いんだろうなっていうのを想像させるために
「ひゃー」っていうパッドの音をいれたり
あと揺るがないものっていうのを伝えたい部分で
ピアノがずっとオスティナート(一定のパターンを繰り返す手法)で
同じフレーズを刻むっていう感じにしたら
熊木さんの話を聞く準備ができるんじゃないかなって

春:ふーん

熊:どういう状態でこの曲を聴きたいのかって
もしかしたら、作っているときの思っている情景と似ているのかもね

森:なるほどね

熊:要するに、どういう状況かっていのが
言葉が違うだけで、この曲が生まれている背景みたいなところの世界は
それをどういうところで聴きたいかっていう世界と通じてるっていうか
う、裏口入学っていう感じ(笑)

森:あえて聞かなかったんですよね、曲の背景を
これはどういう曲ですか?とか
誰に伝えたい曲ですか?とか
その生まれた世界を聞かなかったんですよね
1回だけピアノがはいったデモを聴いて
あとはもうピアノを外して、歌だけ聴く
で、いろいろ考えてって
声と言葉の鮮度があるような感じにしたかったから
トラック数もすごい少ないんですよ
「生きかけとして」なんてとくに
もう片手
ミックスの時点では増えるかもしれないけど
いれてる音色としては、片手
だけどもう、音はすごいこだわるっていうか
その分ね
一個一個の音が締める役割がバンドといっしょで大きいから
一個ずつ音作って
でも音がきまると、そこからははやいみたいな

熊:要さん(スターダスト☆レビュー:根本要)がすごく褒めてたよ!

森:うれしい

熊:休憩!

森:ビール買いにいこう!

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人と時

  • 【初回生産限定盤】(CD+DVD)
  • ¥6,545+税 YCCW-10369/B
  • 2019.10.30 Release
  • 【通常盤】(CD)
  • ¥2,727+税 YCCW-10370
  • 2019.10.30 Release
≪CD収録内容≫
初回限定盤・通常盤
  • 1. home
  • 2. あわい
  • 3. それがいいかな
  • 4. 傘
  • 5. Best Friend
  • 6. どれくらい?
  • 7. いつかの影法師
  • 8. 亡き歌
  • 9. 風船葛
  • 10. 生きかけとして
  • 11. 雪
≪DVD収録内容≫
初回限定盤
熊木杏里 LIVE “ホントのライブベスト版 15th篇” ~An's Choice~
  • 1. 花信風
  • 2. 時計
  • 3. ちょうちょ
  • 4. 風のひこうき
  • 5. 私が見えますか?
  • 6. 七月の友だち
  • 7. wonder land
  • 8. イマジンが聞こえた
  • 9. 朝日の誓い
  • 10. ゴールネット
  • 11. 誕生日
  • 12. 君の名前
  • 13. 心ごと - U時間 -
  • 14. 窓絵
  • 15. 新しい私になって
  • 16. シグナル
ベースと鍵盤の愛だ 北京・上海 ~An's Choice~
  • ドキュメンタリー
  • 17. 一千一秒
  • 18. 風の記憶
  • 19. Hello Goodbye & Hello
  • 20. 羽
  •  

熊木杏里 LIVE “ホントのライブベスト版 15th篇” ~An's Choice~

  • 【ライブ盤】(CD)
  • ¥2,545+税 YCCW-10371
  • 2019.10.30 Release
≪収録内容≫
  • 1. 花信風
  • 2. 時計
  • 3. ちょうちょ
  • 4. 風のひこうき
  • 5. 私が見えますか?
  • 6. 七月の友だち
  • 7. wonder land
  • 8. イマジンが聞こえた
  • 9. 朝日の誓い
  • 10. ゴールネット
  • 11. 誕生日
  • 12. 君の名前
  • 13. 心ごと - U時間 -
  • 14. 窓絵
  •