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2019.11.02

熊木杏里のアルバムリリース記念ライブ 聴くほどに風景が見えてくる 情感溢れるステージ

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聴くほどに風景が見えてくる 情感溢れるステージ

 穏やかで、たおやか。だけど強いまなざしが、その歌の向こうからずっと注がれている。ステージに立つ熊木杏里は、今日も凛として可愛らしくて、そしてどこか頼もしい。

 10月30日に発表した新作アルバム『人と時』をタイトルに掲げてのライブだ。デビュー15周年に紡いだ10枚目のアルバム。節目の1枚だからこそ自身の本質に忠実に、大切につくられた楽曲たちが、この日は惜しみなく全曲披露された。

 アルバム同様、ノスタルジックな色合いの「home」からライブはスタート。本人が念願だったというKiroroのカバー「Best Friend」に、「それがいいかな」「新しい私になって」と秀逸なポップナンバーが続き、序盤にして会場の温度がぐっと上がる。

 熊木の洗いざらしの木綿のようなナチュラルな歌声と、ピアノ、ギター、コントラバス(ウッドベース)、ドラムというシンプルなサウンド構成。しかしそこに、楽曲が生まれ持った世界観がくっきりと浮かび上がる。風景描写がほとんどないにもかかわらず、聴くほどに景色が見えてくるのは、熊木杏里という音楽の特性と言っていい。すべては音に情感が溶け込んでいればこそ、だ。

 「今回のアルバムはオトナ熊木とでもいいますか。コントラバスと素敵な弦が入っております。今日はその雰囲気を存分に出していきたいと思います!」

 

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 そしてチェロとバイオリンが加わって、バンドは目にも耳にも華やかになった。アルバムの多彩なアレンジは、聴き手を時にせつなく、時に楽しくさせるのだが、その抑揚がもたらす高揚感はライブの場でさらに増幅する。「傘」「あわい」と熊木らしいフォーキーで叙情的なメロディが、温もりに満ちた歌声とともに会場を包み込む。

 そんな風に胸を揺さぶられたところで、一気に空気を変えるのもまた熊木のMCだ。これもファンにとってはライブの楽しみのひとつだろう。ちょっとぶっきらぼうな少女のような気さくさで、メンバーとの他愛ない会話でも笑いを誘う。終盤には、オーディエンスにフィンガースナップ(いわゆる指パッチン)という難易度の高い要求をして会場をどよめかせつつ、そのまま怒涛の展開へ。

 「春の風」のクラシカルでゴージャスなアレンジには、誰もが心躍ったはずだ。「風船葛」の視界が開けていくような展開に熊木の声は艶やかさを増し、いつになく力強く響き渡った。楽曲の内にぎゅっと閉じ込められ、普段は見えることのない彼女の本来の激しさが、この日、このステージには確かに存在していた。

 「また来年、元気に会えることを楽しみにしています!ありがとうございました!」

 アンコールに応えてしばし。バンドメンバーがステージを降りた後、ひとりその場に残った熊木が、オーディエンスを抱きしめるポーズを繰り返すのだが、そのぎこちなさがまたみんなの頬を緩ませた。楽曲の素晴らしさも、彼女のキャラクターも存分に味わえた、充実の一夜だった。

 そういえば、15周年だとか10枚目だとか、彼女の口からはついぞ一言も出なかった。熊木杏里という音楽が、日常の些事を丁寧に切り取ることで成り立っているのなら、それは生きている限り生み出されるということだ。だから区切らないことが、次なる5年へ、10年へ向けて歌っていくことへの、彼女なりの覚悟なのかもしれない。私は、そう受け止めたい。

 

  文:斉藤ユカ / 写真:森 久

<商品概要>

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  • ■『人と時』【初回限定盤】
  • 形態:CD [11曲] + DVD [102min]
  • 価格:¥6,545 + 消費税
  • 品番:YCCW-10369/B
  • Amazon

 

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  • ■『人と時』【通常盤】
  • 形態:CD [11曲]
  • 価格:¥2,727 + 消費税
  • 品番:YCCW-10370
  • Amazon

 

  • 発売日:2019年10月30日(水)
  • 先行配信:2019年9月25日(水)
  •  
  • ≪CD収録内容≫ *初回限定盤・通常盤 共通
  • 01. home
  • 02. あわい
  • 03. それがいいかな
  • 04. 傘
  • 05. Best Friend
  • 06. どれくらい?
  • 07. いつかの影法師
  • 08. 亡き歌
  • 09. 風船葛
  • 10. 生きかけとして
  • 11. 雪
  • ≪DVD収録内容≫ *初回限定盤のみ
  • 『熊木杏里 LIVE “ホントのライブベスト版 15th篇” ~An's Choice~』
  • 01. 花信風
  • 02. 時計
  • 03. ちょうちょ
  • 04. 風のひこうき
  • 05. 私が見えますか?
  • 06. 七月の友だち
  • 07. wonder land
  • 08. イマジンが聞こえた
  • 09. 朝日の誓い
  • 10. ゴールネット
  • 11. 誕生日
  • 12. 君の名前
  • 13. 心ごと - U時間 -
  • 14. 窓絵
  • 15. 新しい私になって
  • 16. シグナル
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  • 『ベースと鍵盤の愛だ 北京・上海 ~An's Choice~』
  • ドキュメンタリー
  • 17. 一千一秒
  • 18. 風の記憶
  • 19. Hello Goodbye & Hello
  • 20. 羽
  •  
  • [ 約102分収録 / NTSC / リージョンALL ]

オリジナルアルバム「人と時」初回限定盤DVDから厳選セレクトで音源をCD化!

ライブ盤『熊木杏里 LIVE “ホントのライブベスト版 15th篇” ~An's Choice~』が同時発売する。初回限定盤特典DVD に収録の東京国際フォーラム ホールCでのコンサートより、厳選された14曲を収録。名曲揃いのライブ音源で、いまの熊木杏里が楽しめる1枚。15周年の節目に行われた、貴重なコンサートからのライブ盤という事で、ファンのみならず楽しめる作品。

<商品概要>

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  • ■『熊木杏里 LIVE “ホントのライブベスト版 15th篇” ~An's Choice~』【LIVE CD】
  • 発売日:2019年10月30日(水)
  • 形態:CD [14曲]
  • 価格:¥2,545 + 消費税
  • 品番:YCCW-10371
  • Amazon

 

  • ≪CD収録内容≫
  • 01. 花信風
  • 02. 時計
  • 03. ちょうちょ
  • 04. 風のひこうき
  • 05. 私が見えますか?
  • 06. 七月の友だち
  • 07. wonder land
  • 08. イマジンが聞こえた
  • 09. 朝日の誓い
  • 10. ゴールネット
  • 11. 誕生日
  • 12. 君の名前
  • 13. 心ごと - U時間 -
  • 14. 窓絵

プロフィール

熊木杏里 -Anri Kumaki-

2002年2月21日シングル「窓絵」でバップよりメジャーデビュー。翌年1stアルバム『殺風景』をリリース。その後、中島信也が監督を務めた資生堂の企業CMで「新しい私になって」が使用され話題となる。YTV「かんさい情報ネット Ten!」のコーナー「めばえ」のテーマ曲「誕生日」は、長年にわたり使用されいまも話題となっている。その他、新海誠監督のアニメーション映画『星を追う子ども』の主題歌に「Hello Goodbye & Hello」が使用されるなど、数々のタイアップ実績をもつ。また、TVアニメ『Charlotte』、『Rewrite』では挿入歌 / 主題歌の歌唱を務め、RPG『リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~』では、エンディングテーマの歌唱も務めている。2016年から始まった中国公演は、翌年2017年に8箇所へと拡大し大成功をおさめた。同年12月、小田和正が贈る恒例ライブ番組『クリスマスの約束』にゲスト出演し、話題を呼ぶ。2018年3月24日、東京国際フォーラム ホールCにて15周年記念コンサートを大成功におさめる。

 

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  • RFC ラジオ福島  毎週月曜日 21:00~21:20
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<熊木杏里 オフィシャル Web>

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