定価:2,778円+税
Blu-spec CD2仕様 YCCW-10358
シリーズ第3弾となる今作は、70年代、誰もが口ずさんだ名曲「なごり雪」(かぐや姫)、80年代を象徴するアイドル松田聖子の映画主演作品『野菊の墓』主題歌「花一色~野菊のささやき」(松田聖子)、80年代後半、ドラマ、映画で人気を博した「とんぼ」(長渕剛)、90年代、社会現象となったゲームブームの主役、ドラゴンクエストのアニメ主題歌「夢を信じて」(德永英明)、視聴率競争が熾烈を極めたトレンディードラマの主題歌「浅い眠り」(中島みゆき)等を収録。これらの名曲に加え、長くプロデューサーを担当する中島みゆきの楽曲として、「浅い眠り」と瀬尾一三がはじめて中島みゆきと出会いアレンジを担当した「涙 -Made in tears-」も収録。
六文銭
作詞:及川恒平 / 作曲:原 茂 / 編曲:瀬尾一三
六文銭6枚目のシングル「サーカスゲーム」に収録。1972年4月25日に発売された、ベルウッドレコード第1号作品であり、名盤としても名高いアルバム『キングサーモンの島』にも収録。
この曲のボーカル、作詞を担当している及川恒平は「この歌は、ぼくの青春時代を代表するものと言ってしまいたい」と自身のサイトで語っている。
<1972年1月25日発売>*SG「サーカスゲーム」B面
猫
作詞:喜多條 忠 / 作曲:石山恵三 / 編曲:瀬尾一三
カレッジフォークグループ「ザ・リガニーズ」のメンバーであった常富喜雄、内山修と「ジ・アマリーズ」の田口清によって結成された猫の6枚目のシングル。
瀬尾はセカンドアルバム『二枚目』の全曲含め、多数、編曲で参加している。
<1974年2月21日発売>
かぐや姫
作詞・作曲:伊勢正三 / 編曲:瀬尾一三
かぐや姫4枚目のアルバム『三階建の詩』に収録。
同アルバムはオリコン週間LPランキング1位、年間LPランキング6位を獲得し、名実ともに70年代の名盤となった。
「なごり雪」は1975年イルカ8枚目のシングルとしても大ヒットしている。
<1974年3月5日発売>*AL『三階建の詩』より
石川セリ
作詞:武田全弘 / 作曲・編曲:瀬尾一三
石川セリのセカンドアルバム『ときどき私は・・・』に収録。同曲は瀬尾が作曲と編曲を担当。
レコーディングには矢野顕子、伊藤銀次、小原礼、村上秀一、吉川忠英、杉本喜代志等が参加している。
<1976年1月25日発売>*AL『ときどき私は・・・』より
大貫妙子
作詞・作曲:大貫妙子 / 編曲:瀬尾一三
小倉エージプロデュースでアレンジャーに瀬尾一三と坂本龍一の二人を迎えて制作された大貫妙子のサードアルバム『MIGNONNE(ミニヨン)』の1曲目に収録。
シングル「じゃじゃ馬娘」と同時発売。アルバムタイトル「MIGNONNE(ミニヨン)」(かわいい)をアンチテーゼするようなオープニングナンバー。
レコーディンには水谷公生、鈴木茂、松木恒秀、林立夫、後藤次利 等が参加している。
<1978年9月25日発売>
CHAGE and ASKA
作詞・作曲:ASKA / 編曲:瀬尾一三
CHAGE and ASKAのデビューシングルであり、デビューアルバム『風舞』に収録。同アルバムは1曲を除き瀬尾によるアレンジ。
その他、初期の名作「終章(エピローグ)~追想の主題」、サードシングル「万里の河」、 5枚目シングル「男と女」や、ライブでの大人気ナンバーで19枚目のシングル「ロマンシングヤード」も瀬尾のアレンジである。
<1979年8月25日発売>
松田聖子
作詞:松本 隆 / 作曲:財津和夫 / 編曲:瀬尾一三
松田聖子6枚目のシングル「白いパラソル」に収録。
1981年8月に公開された東映映画『野菊の墓』の主題歌。同曲は作詞に松本隆、瀬尾は作曲を担当した財津和夫からのオファーでアレンジをすることになった。
松田聖子作品では「赤い靴のバレリーナ」「ピーチ・シャーベット」も瀬尾のアレンジである。
<1981年7月21日発売>*SG「白いパラソル」B面
稲葉喜美子
作詞・作曲:稲葉喜美子 / 編曲:瀬尾一三
稲葉喜美子3枚目のシングル。サードアルバム『あのこがほしい』にも収録。
1985年発売、富田靖子のセカンドアルバム『思春期・前期』収録曲「お天気雨」は作詞、作曲を稲葉喜美子、編曲を瀬尾が担当している。
<1983年11月1日発売>
吉沢秋絵 with おニャン子クラブ
作詞:秋元 康 / 作曲:山梨鐐平 / 編曲:瀬尾一三
おニャン子クラブのメンバー吉沢秋絵のデビューシングル。
当時の人気ドラマ『スケバン刑事Ⅱ少女鉄仮面伝説』主題歌。瀬尾は前出の松田聖子をはじめ、河合奈保子、中森明菜、富田靖子、岡田奈々、杉浦幸、木之内みどり、工藤静香、倉沢淳美、中山美穂、近年ではももいろクローバーZと女性アイドルの仕事も多数手がけている。
<1985年11月1日発売>
吉田拓郎・加藤和彦
作詞:安井かずみ / 作曲:加藤和彦 / 編曲:瀬尾一三
1986年公開武田鉄矢主演映画『幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬』テーマ曲。吉田拓郎と加藤和彦とのデュエットナンバー。
吉田拓郎の2005~2006 に行われたツアーを収録したDVD『TAKURO & his BIG GROUP with SEO 2005Live & His RARE Films』で瀬尾バンドとともに歌われたこの曲が収められている。
<1985年12月5日発売>
森川美穂
作詞:ちあき哲也 / 作曲:小森田 実 / 編曲:瀬尾一三
ミノルタカメラ『AFテレ』のCMソングで森川美穂5枚目のシングル。
作品集1に収録のファーストシングル「教室」も小森田実と瀬尾による作品。
<1986年10月21日発売>
ASKA
作詞・作曲:ASKA / 編曲:ASKA・瀬尾一三
ASKAのソロ・デビューシングル。自身が出演したテレビ朝日系ドラマ『TV 時代劇スペシャル 新選組』主題歌。
1988年に発売されたASKA 1枚目のオリジナルアルバム『SCENE』に収録。同アルバム収録の「蘇州夜曲」も瀬尾による編曲である。
瀬尾とASKAのコンビでは1989年ASKA が德永英明に提供した8枚目の両A 面シングル「心のボール」を瀬尾がアレンジしている。
<1987年9月21日発売>
中島みゆき
作詞・作曲:中島みゆき / 編曲:瀬尾一三
中島みゆき23枚目のシングル。瀬尾と中島みゆきの初タッグ曲。
これ以降、中島みゆきのオリジナルアルバム、ライブ、『夜会』のほぼ全ての編曲を瀬尾が担当している。
この楽曲は前川清のシングル「涙」として提供した曲のセルフカバー。
<1988年10月21日発売>
長渕 剛
作詞・作曲:長渕 剛 / 編曲:瀬尾一三・長渕 剛
長渕剛20枚目のシングル。自身が主演のTBS系ドラマ『とんぼ』の主題歌でミリオンセラーの大ヒット曲。
オリコン週間シングルランキング5 週連続1位を獲得。翌1989年オリコン年間シングルランキング3位を獲得している。長渕剛主演テレビドラマ主題歌「GOOD-BYE青春」「孤独なハート」「SUPER STAR」「ろくなもんじゃねえ」「しゃぼん玉」「RUN」は全て瀬尾とのコンビで生まれている。
<1988年10月26日発売>
中山美穂
作詞:北山瑞穂 / 作曲:CINDY / 編曲:瀬尾一三
中山美穂8枚目のアルバム『angel hearts』の1 曲目に収録。自身出演のCITIZEN『LIGHTHOUSE』CFソング。
ラジオ番組『中山美穂 P.S. I LOVE YOU』のオープニングテーマでもあった。
<1988年12月5日発売>*AL『angel hearts』より
德永英明
作詞:篠原仁志 / 作曲:德永英明 / 編曲:瀬尾一三
德永英明9枚目のシングル。フジテレビ系アニメ『ドラゴンクエスト』主題歌(エンディングテーマ)。
オリコン週間シングルランキング3 位を獲得した。瀬尾の作品集1に「壊れかけのRadio」、作品集2に「最後の言い訳」が収録されている。
<1990年1月16日発売>
中島みゆき
作詞・作曲:中島みゆき / 編曲:瀬尾一三
中島みゆき28枚目のシングルでフジテレビ系ドラマ木曜劇場『親愛なる者へ』主題歌。中島みゆき初のミリオンセラー作品。
その後「空と君のあいだに」「旅人のうた」「地上の星」でも、中島&瀬尾のコンビでミリオンセラーを実現している。
<1992年7月29日>
このアルバムの最大の醍醐味は、先行する2組のコンピレーション・アルバムとともに、1970年代から2010年代までの“時代を創った”曲たちを通じて、日本のポップ・ミュージックの動きをシミュレーションできるところにある。そしてもうひとつ、これらの曲のすべてが瀬尾一三というプロデューサー&アレンジャーによる作品であるということが意味することが何かということも、このアルバムから問いかけられているという気がする。
これがフィル・スペクターの作品集であれば、主人公はまぎれもなくスペクター自身だ。彼はどんなシンガーであろうと華麗な“ウォール・オブ・サウンド”を纏わせてスペクター印の楽曲にしてしまう。しかし、『時代を創った名曲たち』に収められた楽曲には、共通する“瀬尾サウンド”は見当たらない。あるのはそれぞれのアーティストの個性を際立たせるバラエティ豊かなサウンド群。しかし、それこそが瀬尾一三の真骨頂なのだ。
それまでアウトサイダーだったフォークやロックのミュージシャンがメジャーシーンに登場してきた1970年代、彼はその新しい流れをつくりだした作品の多くを手掛けていった。そして、それまで主流であった派手な衣装をまとわせて楽曲をアピールする歌謡曲的編曲ではなく、アーティストが本来持っている魅力や彼らの想いを楽曲に反映させる新たな編曲手法を打ち出していく。
瀬尾一三がつくるサウンドには定型は無い。例えば、本作に収録されているCHAGE and ASKA、長渕剛、德永英明らの楽曲は、それぞれまったく表情が違う。それは、彼がアーティストの持っている本質的な色を磨き上げていった結果生まれた必然的な違いだ。
その結果、彼はさまざまなシンガー&ソングライターに寄り添いながら、彼らの楽曲を通じてアーティストの歴史を描くとともに、それらを音楽シーンの広がりのなかに“時代を創った” 楽曲として定着させていくという、極めて稀有なサウンドクリエイターというスタンスに立つことになっている。
現在も共同作業を続けている中島みゆきとの出会いの作品「涙 -Madein Tears-」など、膨大な作品群から1970 ~ 90年代に発表された興味深い楽曲がセレクトされている本作『時代を創った名曲たち 3』も、“時代を創った” 名曲たちを通じて、この50年の日本の音楽シーンを俯瞰し、体感できる作品なのだ。
瀬尾一三は70年代以降のフォーク、ニューミュージック、そしてJ-POPへと続く日本のポップ・ミュージックにおける王道のサウンドを創ってきた人だ。しかし、そのキャリアのはじめにおいて、彼は異端中の異端だった。
70年代初期のフォーク台頭期に忽然と現れた彼は、アカデミックな音楽教育は受けておらず、すべて独学だった。さらに、関西フォークのキャリアと、東京の洗練された最先端のセンスを兼ね備えるという、それまでには居なかったユニークな、しかしまさに70年代以降の音楽シーンにとって不可欠な才能を持っていた。それまでの音楽業界にとって“異端” の存在だったからこそ、彼は次の時代を切り拓くことができたのだ。
瀬尾一三は、過去の“王道” とは一線を画した“異端” こそが、次の時代の“王道” をつくりだすことができるということを証明する存在でもあった。
前田祥丈(音楽ライター)1月8日に発売する瀬尾一三『「時代を創った名曲たち 3」~瀬尾一三作品集 SUPER digest~』と
中島みゆき『CONTRALTO』の2作品を対象のCDショップで同時にご購入いただくと、
先着で両作品の告知ポスターをアレンジした「オリジナルA4クリアファイル」をプレゼントいたします。
今作『「時代を創った名曲たち 3」〜瀬尾一三作品集SUPER digest〜』と
2月10日に発売される初の書籍『音楽と契約した男 瀬尾一三』の発売を記念して、
瀬尾一三によるスペシャル・トークイベントが決定!
今回発売された作品についてはもちろんのこと、
同時発売となった中島みゆきの新作アルバム『CONTRALTO』のこと等
話題満載でお届けします。
【 レジェンド・スペシャル対談 】瀬尾一三 × 萩田光雄・松任谷正隆・山下達郎・亀田誠治(4対談)
【 寄稿 】吉田拓郎・中島みゆき・中村 中 他
定価:2,500 円+税 / ISBN:978-4-636-96305-2(A5 判)
出版社:ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
1947年9月30日生。兵庫県出身、音楽プロデューサー、作曲家、編曲家。
1969年フォークグループ「愚」として活動。1973年ソロシンガーとしてアルバム『獏』を発売。同年に『LIVE'73』を吉田拓郎と共同プロデュース。その後、中島みゆきをはじめ、吉田拓郎、長渕剛、德永英明 他、今作品に収録された日本のポップス、ロックシーンの黎明期から現在まで燦然と光輝くアーティストたちの作品のアレンジ(編曲)やプロデュースを手掛け、中島みゆきにおいてはコンサート、『夜会』『夜会工場』の音楽プロデュースも務めている。2017年、自身の作品集第1弾『「時代を創った名曲たち」~瀬尾一三作品集 SUPER digest~』を発売し、好評を博した。2019年に第2弾、2020年1月に第3弾の発売が決定。その同時期に音楽活動50周年のアーカイブ書籍『音楽と契約した男 瀬尾一三』の発売を予定している。